肺炎球菌ワクチンの種類や適応が変更となり、わかりにくくなっています。ここに覚え書きとしてまとめておきます。(2016年8月現在)
内容の一部は 横浜市衛生研究所:肺炎球菌感染症について および添付文書情報を参照しております。
PCV(結合型ワクチン, pneumococcal conjugate vaccine)
- 肺炎球菌の莢膜(カプセル)を精製して作られたポリサッカライド(多糖体)をCRM197 *1 という蛋白質に結合して作ったのが、結合型ワクチンです。
- 蛋白質と結合させることにより、抗原性・免疫原性が高まり、乳児への接種でも免疫を作ることが可能となりました。
PCV7
- 2009年10月16日、7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7、製品名:プレベナー水性懸濁皮下注)が承認され、2010年2月24日より小児用肺炎球菌結合型ワクチンとして発売。2カ月齢以上6歳未満の小児に対して接種されます。
- 2013年11月1日、13価ワクチン(PCV13、製品名:プレベナー13水性懸濁注)に切り替えられました。
PCV13
- 2013年11月1日、肺炎球菌結合型ワクチンについて、7価ワクチン(製品名:プレベナー水性懸濁皮下注)から13価ワクチン(PCV13、製品名:プレベナー13水性懸濁注)に切り替えられました。2カ月齢以上6歳未満の小児に対して接種されます。皮下注射です。
- 2014年6月、13価ワクチン(製品名:プレベナー13水性懸濁注)については、高齢者に対する肺炎球菌 *2 による感染症の予防の効能が追加されました。65歳以上の高齢者に対して接種されます。筋肉内注射です。
PPSV(ポリサッカライドワクチン,pneumococcal polysaccharide vaccine)
- 肺炎球菌の莢膜(カプセル)のポリサッカライド(多糖体)を精製して作られたのが、ポリサッカライド-ワクチンです。
- 2歳未満の乳幼児では、接種によって有効な免疫を作ることができないため、2歳未満の乳幼児は接種対象とはなりません。
- 1回の接種によって獲得された免疫の効果は、健康な成人では少なくとも5年間は持続するものの、接種の5-10年以降には減退していくと考えられています。
- 上気道炎、中耳炎、副鼻腔炎などには予防効果はなく、肺炎球菌の鼻やのどの粘膜への定着も阻害しないと考えられています。
PPSV23
- 1988年11月、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23、製品名:ニューモバックス)発売。
- 2006年11月、BSE(牛海綿状脳症)問題に対応し、ウシ由来の原料を使わない製法で改めて23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23、製品名:ニューモバックスNP)として販売承認を取得し、発売。
- 接種対象は2歳以上ですが、主に高齢者に対して接種されます。筋肉内または皮下注射です。
- 2014年10月から、高齢者の定期予防接種となりました。
- 過去5年以内に肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンを接種されたことのある人では、注射部位の疼痛、紅斑、硬結等の副反応が、初回接種よりも頻度が高く、程度が強く発現すると報告されています。