予防接種の効果と害

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

麻しん風しんワクチンは13か月以降に

風疹 麻疹
スポンサーリンク

 

風疹騒動は一段落

 風疹の流行はようやく一段落したようです。

風疹発生動向調査 国立感染症研究所

 

 先天性風疹症候群を予防するためにの風疹緊急対策として、妊娠を予定している女性や妊娠している女性の夫に対するワクチン接種に一部費用助成が実施されました。

 この対策の是非についてはひとまず置いておくとして、これまで予防接種を受けていなかった人に接種する機会ができたことは、よかったことです。

 

 しかし、残念ながら先天性風疹症候群は、先進国とは思えないほど多数の発症者を出してしまいました。

先天性風しん症候群(CRS)の報告(2013年11月20日現在)

 まだ予防接種していない人、抗体がない人はたくさんいます。このままでは、これからもまた流行は起きるはずです。

 一時的な対策ではなく、継続的な対策がとられることが望まれます。

 

麻しん風しんワクチンは1歳から?

 さて、麻しん風しんワクチン(ワクチン名の場合は、なぜか平仮名混じりになります。) は1歳(12か月)以降に接種できます。「1歳の誕生日に」というキャッチコピーもよく見かけますね。流行しているということもあり、1歳になってすぐに接種される方も多いかと思います。

 

 1歳からのワクチンについて、少し古いですが気になる報告がありますので、ご紹介します。

横断研究(1997年)

Poland GA, Jacobson RM, Thampy AM, Colbourne SA, Wollan PC, Lipsky JJ, Jacobsen SJ. Measles reimmunization in children seronegative after initial immunization. JAMA. 1997 Apr 9;277(14):1156-8. PubMed PMID: 9087472.

  • P▶ 4-11年後に麻疹ワクチンを追加接種した学童期の小児は
  • E▶ 初回接種が13か月未満では
  • C▶ 初回接種が13か月以上に比べて
  • O▶ 追加接種後6週間での麻疹抗体陰性率は多いか
  • T▶ 予防、横断研究
《結果》※
追加接種した130人の小児について
麻疹抗体陽性 106人(81.5%)、陰性 24人(18.5%)
初回接種が13か月未満では、13か月以上に比べて抗体陰性となったのは
オッズ比 3.9(95%信頼区間 1.5~9.7)

 

早い接種で抗体陰性が約4倍

 小規模の検討であり、横断研究であること、抗体価という代用のアウトカムで評価していることなど、研究自体の限界はあります。しかし、早く接種するだけで抗体がつきにくくなる、という結果は気になります。

 

 それもたった1か月遅らせるだけ。流行期でなければ実行するのは簡単です。

 

アメリカとカナダの比較

 もうひとつ横断研究をご紹介します。2002年に麻疹ワクチンを15か月で初回接種しているアメリカ12か月で初回接種しているカナダで麻疹抗体価を比較した報告があります。いずれも6~11歳で追加接種されています。

横断研究(2002年)

Poland GA, Jacobson RM, Vierkant RA, Colbourne SA, Thampy AM, Pankratz VS, Jacobsen SJ. Effect of differing immunization policies on circulating measles antibody levels in US and Canadian children. Mayo Clin Proc. 2002 May;77(5):446-52. PubMed PMID: 12004994.

  • P▶ 6~11歳で麻疹ワクチンを追加接種した小児は
  • E▶ 12か月で初回接種しているカナダでは
  • C▶ 15か月で初回接種しているアメリカに比べて
  • O▶ 抗体陽性率は低いか
  • T▶ 予防、横断研究
《結果》※
1052人(カナダ333人、アメリカ719人)の小児が研究に参加
抗体陽性率:カナダ76%、アメリカ87%
初回接種時期と抗体陽性率には量反応関係がある。
抗体陽性のオッズ比(初回接種13か月未満を1):初回接種16か月 2.30

 

遅く接種するほど高い抗体陽性率

  こちらの報告でも13か月未満より16か月での初回接種のほうが抗体陽性率が高く、接種時期が遅くなるほど抗体陽性率が高くなっていた、という結果のようです。

 

 あくまでも横断研究であり、抗体価を比較した代用のアウトカムで差がみられたに過ぎません。この抗体陽性率の差が、実際の予防効果にどれほどの影響があるのかについては、はっきりしないままです。

 

 もし流行期ではないなど急いで接種する必要がない場合、これから接種するのであれば、1歳ではまず先に他のワクチンを勧めて、1歳1か月以降に麻しん風しんワクチンを接種してもよいのかもしれません。

 

麻しん風しんワクチンは13か月以降に

  • 麻疹ワクチンを13か月未満に初回接種した小児は抗体陽性率が低いという海外の横断研究がある。
  • 予防効果自体に差がどの程度あるのかわからないが、流行期でなければ麻しん風しんワクチンを1歳1か月以降に接種することは検討に値するかもしれない。

 

(2016.6.6 記事を統合)