ワクチンと自閉症に関する捏造論文の不幸

 
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 ワクチンと自閉症の投稿記事で、1998年のMMRワクチンと自閉症に関する捏造論文のことを取り上げました。

 
  取り下げられた論文はこちらです。医学に関わるわれわれにとっての教訓の意味合いもこめて。
Wakefield AJ, Murch SH, Anthony A, Linnell J, Casson DM, Malik M, BerelowitzM, Dhillon AP, Thomson MA, Harvey P, Valentine A, Davies SE, Walker-Smith JA.Ileal-lymphoid-nodular hyperplasia, non-specific colitis, and pervasivedevelopmental disorder in children. Lancet. 1998 Feb 28;351(9103):637-41.Retraction in: Lancet. 2010 Feb 6;375(9713):445. Partial retraction in: Murch SH,Anthony A, Casson DH, Malik M, Berelowitz M, Dhillon AP, Thomson MA, Valentine A,Davies SE, Walker-Smith JA. Lancet. 2004 Mar 6;363(9411):750. PubMed PMID:9500320. 

 

 このLancet誌のページが削除されずに残され、いつまでもきちんと晒されていることに大きな意義を感じます。

 ワクチンと自閉症の関連は、この捏造論文から端を発した、科学的に証明されていない情報だったのです。

 

捏造が受け入れられる基盤

 なぜこのような論文が捏造されなければならなかったのか。この経緯については、こちらで詳しく紹介されています。

週刊医学界新聞 〔連載〕続 アメリカ医療の光と影  アウトブレイク
李 啓充 医師/作家(在ボストン)
[連載] 続 アメリカ医療の光と影(199)

 

 第203回までが一連の記事になっております。この一連の記事の最後に述べられている言葉が、とても印象的です。

科学的にはほぼ完璧に否定された「MMRワクチン原因説」を,いまだに信じる親たちが多い最大の理由は,「医療そのものに対する不信の大きさにある」と言ってよいだろう。不信が根底にあるからこそ,どれだけ意を尽くして「科学的証拠」を説明しても,その説明を受け入れていただくことができないようなのである。

 

 医療に対する不信というよりも、過信していた医療に対して裏切られた、といったほうがより現実を踏まえた表現なのかもしれません。

 医療に対する信頼感を取り戻すことに力を注ぐだけでは解決しないことがあるでしょう。科学的根拠に基づき、過信を煽らない医療を心がけることも重要なのではないか、と感じています。

読者の指摘に基づき一部削除 2013-12-24
一部改変 2015-03-23